(写真:19lbのバラ。)
「西オーストラリア州の秘境で、5月終わりに巨大バラマンディを釣りに行く?」
僕の釣りの師匠で、フジマルフィッシングのボスでもある金園さんから、
この話しを持ちかけられたのは3月半ばのころだった。
「はい、行きます。」ひとつ返事でお答えした。
今回もお客さん達はオフショアネットの木村さんを団長とする、
世界各地を釣り歩いているツワモノ達5人だった。
バラマンディとは、先住民アボリジニの言葉で<大きなウロコ>を意味しており、
最大2mくらいにまで育つ、スズキのような魚だ。
日本では四国の四万十川にだけ生息する、<アカメ>という魚が非常に近く、
白銀の巨体に赤い目が特徴。その性質は、獰猛かつ果敢で、
人間のこぶしが2つくらい入る大きな口で、中小の魚はもとより、
水鳥達を襲って食べることもある。
日本のバスフィッシングの延長上にある釣りとも言え、マニアの間では、<神の魚>と呼ばれ、
淡水ルアーフィッシングの最高峰としてあがめられている。
僕自身は、数年前に最大80cm弱を釣り上げたが、
それより大きなバラマンディはルアーのフックが伸びきったり、
ラインブレークしたりと全部取り逃がしてうという苦い経験ががある。
「逃がした魚は大きい」と人から言われるのが嫌で、そのことは後から触れないようにしていたが、
最近まで、その逃がした巨大バラマンディが悪夢のように寝どころを襲ってきて、
はっと目を覚ますことすらあった。
だから、今回の釣行はそのリベンジ戦でもあった。
前回は、バスフィッシングの釣具にちょっと太目の糸を使っただけだったが、
今回は、竿・リールはバラマンディ専用の釣具を用意し、糸もブライドラインと呼ばれる
専用の強いものをリールに巻き、ルアーも20cmくらいの大きなものを揃えた。
そして、もちろんルアーの針も特別に取り寄せた強靭なものに全て付け替えた。
(写真:キャンプと言っても立派なベースがある。)
ノーザンテリトリーのダーウインで、日本からの大物釣り狙いの釣り人5人を迎え、
そこから30人乗りのプロペラ機で西オーストラリア州のキンバリーの田舎町に飛び、
更にキャンプ場のオーナーの4輪駆動で1時間半ほど悪路を走ってようやく目的地のキャンプ場に着いた。
ここで6日間、キャンプを張り、朝から晩まで釣りまくるという夢のようなひとときを過ごす。
(写真:落水していたヤギを救出した。)
釣り場には巨大クロコダイルがごろごろしていて、1日平均10匹以上のクロコダイルと遭遇もした。
前にキャサリンという渓谷でひとりで岸釣りをしていて、後ろから危うくクロコダイルに追いかけられて、走って逃げたことがあったことを思い出す。
釣り場では、カンガルーや牧場の牛が水を飲みに来た所を待ち伏せしているクロコダイルも目撃したし、
実際に2匹のクロコダイルが数百kgの牛を食べているシーンも見た。背筋がぞくっとした。
今回は川に落ちて陸に這い上がれないヤギを発見して救出した。
すぐ近くにクロコダイルがやってきたので我々は命の恩人だ。
(写真:フライで上げた24lbのバラムンデイ。)
釣りの1日目は、ひとり平均5.6匹のバラマンディが釣れた。
50cm〜90cmと、大物が続出し、これは間違いなくメーターオーバーが出るな、
という予感が全員に走った。
それは2日目のことだった。僕は皆の許可を得て、釣りをする時間をもらう事ができた。
キャンプ場のオーナーから借りたシンキングルアーを岸際に投げ、
底近くをゆっくりと上下させた。
ズシン、という重く鈍いバラマンディの接触だった。
「HIT!」ガツンと竿をあわせた。
自慢の大型リールから糸がどんどん出て行く。
今度は糸が横走り水面が波打った。
ジャンプに備えて竿を水中にすばやく突っ込んだ。
「ジャンプだ!」空中に舞い上がったその白銀の巨体は、遠くからでもはっきりとわかるように、
赤い目をキラっと光らせながら、2.3回首を振って水面に落ちた。
「バシャン」ではない。「ザッブーン」という感じだ。足が震えた。
あの数年前の悪夢が走馬灯のように脳裏を走り抜けた。
何分かかっただろうか。釣りあがったその巨体は、115cm、19ポンドだった。
これで、もういい。
そして3日目、今回の釣行で唯一フライフィッシングオンリーという、
かたくなな釣りを続けていたお客さんの竿が、尋常でないほど曲がった。
彼は、みんながルアーで一日5匹から10匹釣ってるのに、
「私はフライで一日1匹を目指す、」というストイックさだった。
20cmのルアーに比べて、フライでは大きくても10cm、
深場にいるバラマンディを狙うにも、ルアーとフライの沈みのスピードは比ではなく、
手返しの早さなどからも、フライフィッシングは絶対的なハンディキャップがあった。
特に、ルアーフィッシングの人と同船して釣る場合、
どうしてもポイントに先に届くルアーが有利になってしまう。
しかし、フライ竿が、「くの字」に曲がったのだ。
「デカイ!」周りの釣り人はすぐさま自分の釣具を引き上げ全員で応援した。
強靭で硬いルアー竿ならがんがんリールを巻いて引き寄せられるが、
細くてしなやかなフライ竿はからだ全体で格闘する。
ジャンプや潜水に合わせて竿を左右に振り、足の屈伸と背中の曲げ伸ばしでバラマンディをボートに寄せてくる様は、さながら<達人>と呼ぶにふさわしいスーパーテクニックだった。
1m、24ポンド。なんと今回の釣行で最重量のバラマンディがフライフィッシングで釣り上げられた。
(写真:マッドクラブも爆釣。)
翌日からは、マッドクラブを取ったり、釣りをしたりで、有意義なキャンプ生活をした。
丸1日かけて取ったマッドクラブは、大きいものや身がパンパンに入ったものだけを持ちかえって、
20匹あった。僕は、ここで死ぬほどマッドクラブを食べた。
日本からの方が持ってきた日本製のマヨネーズやポン酢をかけて、
全員で2日かけて食べてもまだ余ったほどだ。
このキンバリーのツアーにご興味にある方は、オフショアネットの木村氏、
または金園までお問い合わせ下さい。